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大規模修繕工事における「談合」問題を考える
2025年3月、公正取引委員会による立入検査をきっかけに、分譲マンションの大規模修繕工事における
「談合問題」が改めて注目を集めています。
さらに、施工会社から管理会社や設計監理会社へのバックマージン疑惑も浮上し、業界全体に波紋が広がっています。
「談合」や「バックマージン」はなぜ問題なのか?
これらの行為が事前に管理組合の了解を得ているのであれば、法的な問題にはなりません。
しかし、実際にはそのようなケースはほとんどなく、お客様に隠して行うことで「不当な利益の搾取」
とみなされ、不法行為として罰せられる可能性があります。
調査対象となった修繕工事会社の数を見ても、「談合」が実際に行われていたと考えるのが自然でしょう。
「談合=悪」と私は考えます。それを「商慣習」や「必要悪」として正当化する声もありますが、
そうした考え方は業界の信頼を損なうものです。
談合禁止がもたらす現場への影響
談合を完全に排除しようとすると、修繕工事自体の適正な遂行には悪影響を与えることになる。
施工会社は、入札案件ごとに常駐可能な資格者要件を満たした現場代理人を確保しなければならない。
現場代理人を何人も用意しないと対応ができない。無駄な人員を多く確保しなければ入札に対応できないことになる。
技術者不足の現代においては、対応可能な人員の確保自体が困難です。
結果として、余剰人員のコストが工事費に上乗せされることになり、お客様にとっても不利益となる可能性があります。
バックマージンの背景にある構造的課題
設計監理会社側からすれば、設計料が安すぎて企業として存続のために必要な適正な利益が確保できないという事情もあります。
その不足分を施工会社に上乗せ請求し、営業費用(バックマージン)として還流させることで帳尻を合わせているケースもあるようです。
しかし、これもまた透明性を欠いた行為であり、業界全体の健全性を損なう要因となります。
これからの修繕工事のあり方
分譲マンションは、建物の老朽化と住民の高齢化という「二つの老い」に直面しています。
空き家問題やマンション建替えの課題も深刻化する中で、修繕工事を担う施工会社の役割は益々大きくなっています。
しかし、労働者不足はさらに深刻化しており、現行の競争入札方式が常に最適とは限りません。
大切なのは「透明性」と「公平性」。
施工会社や設計監理会社が適正な利益と考える水準はどのくらいなのでしょうか?
単なる競争入札というシステムでは限界に近付いているように思います。
価格競争だけでは、長期的な品質や持続可能性が損なわれる可能性もあります。
さらに、人手不足の問題は、簡単に解決できるものではありません。
日本の国力が低下する中、外国人労働者の確保も厳しくなっていくことが予想されます。
だからこそ、これからの建設業界では、無駄なものを省き、限られたリソースを最大限に活かしながら
品質を高めていく取り組みが必要なのではないでしょうか。
建設業、特に改修工事はAIやロボットでは代替しにくい業界です。
計画的な発注・受注と適正な人員配置を可能にする柔軟なシステムの構築が必要です。
最後に
今回の「なりすまし事件」や「談合問題」を受けて、
「とにかく競争入札を適正に行う」という短絡的な対応では、根本的な解決には至りません。
管理組合・管理会社・設計監理会社、そして施工会社
それぞれの立場と考えを理解し合い、品質・安全を最優先に、コストはその次という共通認識のもと、
新しい協力体制と柔軟な仕組みを築いていくことが、これからの修繕工事の未来に必要だと考えます。
マンション管理士 金子信次郎
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