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マンションの新たな管理手法(第三者管理者方式)の行方
分譲マンションに於ける管理手法としては、区分所有者から構成される管理組合が主体と
なって、総会を最高決議機関、理事会を執行機関、そして管理会社等に業務を委託して、実際
の運営は行う。という方式が一般的だ。総会も理事会も管理組合の中に設けられる修繕委員会
も区分所有者からメンバーを募るのが普通です。
この普通のやり方が今、大きな過渡期を迎えている。
1.現在分譲マンションが抱えている大きな問題
日本国内において現在叫ばれている課題は、当然管理組合運営にも影を落としている。
⑴理事等の役員のなり手が不足している。※参加すること自体面倒だと思われている。
①単純に少子高齢化の影響がでている。
②リゾートマンション・ワンルームマンション、所有者が居住していないマンションでは、
更に問題は深刻になっている。リゾートマンション等においては、総会参加者の大幅な
減少、委任状提出者の減少等により、特別決議等の決議要件を満たせなくなり、重要な
特別決議の決議さえとれないマンションが増加しつつある。
こうなるとマンションの資産価値は大きく棄損することになり、所有者は処分等が困難
になる。これは非常に大きな問題である。
⑵区分所有者自体の管理主体としての当事者意識が低下している。
①町内会等のコミュニティ活動の減退と同じようにマンション所有者間の共同体意識が
薄れ、総会等に参加することさえしない所有者が増えている。
②高級マンション等を購入される層には、そもそも面倒な建物維持業務を全くやりたく
という購入理由をお持ちの人が多く存在する。
2.そこで出てきたのが、「第三者管理者方式」という管理手法だ。
⑴簡単に言うと、管理会社等の第三者に管理業務の全てを丸投げするというやり方。
⑵理事会も無いし、修繕委員会等もない。組合員は総会だけ出席して、決議に参加する。
輪番等で理事会の役員等も回ってこない。
⑶非常に便利に思うかもしれないが、当然、管理費用総額は間違いなく値上がりする。
⑷仮に管理会社が第三者の管理者として、実際の運営を行った場合、様々なリスクを負う
ことになる。利益相反行為がそれにあたる。
⑸管理行為に対するチェック機能が働かなくなる。総会や理事会等のチェック機能機関が
存在しないのだから、管理会社等が勝手放題できることになりかねない。
3.国土交通省は動いた。外部専門家の活用ガイドラインの策定が始まっている。
⑴便利だからといって、第三者管理者制度の活用を急ぐと、必ず問題が起きる。
複数の管理会社は積極的にこの第三者管理者制度の活用促進を既存の管理組合に提案し、
どんどん管理者としての業務を受託しつつある。
⑵新築分譲マンションの販売と同時にこの第三者管理者制度を活用しているマンションも
増えつつある。新築時点においてこの制度を活用すると、管理組合そのものが最初から
ないのと同じ状況になってしまう。管理の主体は管理組合にあるというマンション管理
適正化法の趣旨から逸脱したマンションがどんどんできてしまうことになる。新築当時
からこの制度を適用して、万が一管理者の不正によりこの制度を辞め、通常の管理手法に
戻そうとしても、おそらく実現することはできない。
⑶国土交通省は、起きるだろうトラブルに対して、法改正をする前に、先ずはガイドライン
を策定し、管理業者等に対する抑制を図ろうとしている。
4.今後もこの制度については、動向をチェックしていこうと思う。個人的には、この制度を
活用できるマンションと、そうではなく自立できるマンションとをある程度区分して、
適用できる範囲を制限することが必要ではないかと思う。
全てのマンションを一律に扱っていくには、多種多様なマンションが多過ぎる。
限界リゾートマンションを所有している当事者(法人として)としては、是非適用して
もらいたいと考えている。但し、現在そのリゾートマンションに常時居住している住民が
増えている中で、収益性を優先したい所有者と居住性を優先したい所有者との意見の対立
が解決できない限り、このマンションの資産価値が上がることはないだろう。残念。
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