コラム

マンションの減圧弁を交換する適切な時期はいつ?減圧弁の耐用年数や交換時の注意点を解説

減圧弁を交換する時期

マンションは層ごとに水圧が異なるため、各戸の水道の水圧を適正かつ一定にキープできるよう減圧弁が取り付けられています。減圧弁は消耗品なので、点検をして耐用年数を迎えたら新しい物に交換する必要があります。

本記事では、マンションの減圧弁の適切な交換時期と、減圧弁の仕組み、古い減圧弁を使い続けるリスク、交換時の注意点などについて解説します。

マンションの減圧弁を交換する時期は5~10年が目安

減圧弁を交換する時期

マンションの減圧弁は竣工当初から取り付けられているので、初回の交換はマンションの築年数を目安にするのが基本です。減圧弁は、給湯と給水それぞれに取り付けられており、同じ減圧弁でも電気温水器に取り付けた減圧弁の方が劣化が早い傾向があります。

実際の寿命は水道の使用頻度や環境などによって異なりますが、給湯に取り付けたものは5年程度(※1)、給水に取り付けたものは8~10年程度(※2)がおおよその交換時期とされています。時期を見て点検を行うか、定期的なチェックを行うようにしましょう。給水に取り付けた減圧弁の寿命に合わせて交換しようとすると、一足先に電気温水器側の減圧弁の劣化が始まり、各戸で水圧トラブルが起こる可能性があるので注意が必要です。

※1出典:不動産オーナーになろう.「マンションの減圧弁の寿命解説」.
https://fudosaninfo.work/mansion-gennatubenn-jumyou

※2出典:配管保全センター.「減圧弁の交換 費用はいくら?」.
https://haikan-hozen.co.jp/2022/07/09/how-much-replacing-cost-for-pressure-reducing-valves/

大規模修繕に合わせて交換する場合の注意点

マンションでは、建物の安全性や機能性を維持するために、計画的に大規模修繕を行います。大規模修繕に合わせて減圧弁の点検、交換の時期とすると、何度も業者を呼ぶ必要がないので、手間やコストを省けるところが利点です。

しかし大規模修繕は頻繁に行われるものではありません。実際のタイミングはマンションによって異なりますが、国土交通省が発表している長期修繕計画作成ガイドラインでは、計画期間は30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上とするのが望ましいと規定しています。(※)

つまり平均すると15年に1回のペースとなり、減圧弁の耐用年数を大幅に超えてしまいます。以上のことを踏まえると、減圧弁の交換時期は大規模修繕のタイミングに合わせるのではなく、先行して交換を検討するのがよいでしょう。

※出典:国土交通省.「第2編 長期修繕計画作成ガイドライン」p32.
https://www.mlit.go.jp/common/001172736.pdf

マンションの減圧弁の仕組み

減圧弁の仕組みと種類

マンションに取り付けられている減圧弁は、高い圧力を低い圧力に下げるバルブの役割を果たします。一般的にマンションの高階層に水を供給するためには、高い圧力を掛ける必要がありますが、同じ圧力を低階層の住戸に掛けると、騒音や振動が発生したり、器具が故障したりする原因になりがちです。減圧弁の内部には調整圧力を検出するダイヤフラムと呼ばれる部位があり、水圧の変化を検知すると、弁開度を増減させて圧力を一定に保つ仕組みになっています。(高架水槽方式の場合は、高階層が低圧、低階層が高圧になります。)

減圧弁の種類

減圧弁は、構造によって直動式とパイロット式の2種類に区分されます。

直動式は圧力検出部の変化を流動変化に替える方式で、小容量~中容量に適しています。パイロット式は、大小の減圧弁を組み合わせたものです。圧力検出部がパイロット弁の中にあり、増幅機構を介して流量変化に替える方式が採用されています。中容量~大容量に適しているため、高層マンションではパイロット式を採用するケースが多いようです。

マンションの減圧弁を交換しないリスク

減圧弁を交換しないリスク

マンションの減圧弁を点検したり交換したりせず、劣化したまま放置してしまうと、以下のようなリスクが発生しやすくなります。

水はね

劣化によって減圧弁がうまく働かなくなると、主に低階層で水圧が高いまま水が供給されることになり、水はねが発生する可能性があります。勢いよく水が出てくると水がはねしてしまい、マンションの住民から苦情が寄せられるかもしれません。

騒音や振動の発生

水が勢いよく出てくると、流水音や振動が大きくなり騒音や振動が発生してしまう可能性があります。水は時間帯を問わず使用できるため、特に早朝や夜間に水道を使うと、近所迷惑になってしまうおそれがあります。騒音や振動が原因で住民同士のトラブルに発展することも考えられるので要注意です。

適正な温度調節ができない

給水圧力と給湯圧力の差が大きくなりすぎると、水が逆流したり、適正な温度調整ができなくなる原因になります。適切な温度のお湯が使えなくなると、入浴時などに不便が生じてしまい、マンション住民からクレームが発生するリスクが高くなります。

器具類の耐久性低下

水栓などの器具に常時高い水圧が掛かると、器具そのものの経年劣化が進みやすくなります。場合によっては水栓など、器具ごとの交換が必要になることもあり、余計な手間とコストが発生する原因となります。

ウォーターハンマー現象のリスク

ウォーターハンマー現象とは、流速の急激な変化によって水道管内の圧力が上昇または下降する現象です。ウォーターハンマー現象が発生すると、水道を止めた時に壁の中から、ドン、ガンというような振動や異音が生じます。

ウォーターハンマー現象を長期間にわたって放置すると、騒音や振動だけでなく、繰り返される衝撃によって配管の接続部分や給水装置の接合部などに緩みが生じ、水漏れが起こる可能性があります。また給湯器などのセンサーが損傷、故障して温度調節ができない、メーターが正常に作動しないといったトラブルのリスクが高まるでしょう。

マンションで減圧弁を交換する際の注意点

マンションで減圧弁を交換する際に気を付けたいポイントを3つ紹介します。

交換中は断水になる

減圧弁を交換する際は、一時的に止水弁を閉めて給水をストップする必要があります。作業時間は1戸につき15~20分程度ですが、その間、作業を行う住戸は断水状態になります。(※)そのため、マンションの減圧弁を交換する際は、住民に対して減圧弁の交換作業を行うこと、作業中は水が使えなくなることなどを事前に通達しておきましょう。

※出典:配管保全センター.「減圧弁の交換 費用はいくら?」.
https://haikan-hozen.co.jp/2022/07/09/how-much-replacing-cost-for-pressure-reducing-valves/

減圧弁は一度に全戸交換するのが基本

減圧弁の交換は住戸ごとに行うので、不具合や故障が見られる住戸のみ減圧弁を交換することも可能です。ただ、マンションの減圧弁は竣工当時に一斉に取り付けられるものなので耐用年数を迎える時期は、ほぼ同じです。もちろん水道の使用状況によって劣化の進み具合に差は生じますが、年単位で差が生じるとは考えにくいので、点検に加えて、減圧弁を交換するのなら全戸まとめて作業した方がよいでしょう。

減圧弁の交換は業者に依頼するのがベスト

減圧弁の交換は複雑なものではなく、作業は短時間で完了します。DIYの経験があり必要な工具や道具が揃っているなら、自分で交換することも不可能ではありません。

しかし減圧弁の取り付け方にミスや不備があると、水圧が一定しない、水漏れが起こるなどのトラブルが起こるおそれがあります。後のリスクを考えると、減圧弁の交換は専門の業者に依頼することをおすすめします。

マンションの減圧弁は適切な時期に交換しよう

マンションの減圧弁は消耗品であり、耐用年数は、給水側が8~10年程度、電気温水器側が5年程度とされています。減圧弁が劣化すると、水はねや騒音、振動、湯の調節機能の不具合、ウォーターハンマー現象など、さまざまなリスクが生じる原因となります。

場合によっては、水漏れなど大きな被害につながるおそれもあるので、マンションの減圧弁は定期的に点検して適切な時期に交換しましょう。

減圧弁の交換中は対象の住戸が断水状態になるので、事前告知は必須です。また、減圧弁はDIYで交換することも可能ですが、取り付け方に不備があると後のトラブルリスクが高くなるので、専門業者に依頼した方がよいでしょう。

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