コラム

高架水槽とは?仕組みについて解説

高架水槽とは?仕組みについて解説

高架水槽とは、マンションやビルなど中高層建築物に用いられる貯水槽のひとつで、屋上に設置されているタンクのことです。
高架水槽が設置されている建物は、高架水槽方式によって給水を行っています。高架水槽方式は、受水槽に貯まった水を揚水ポンプで高架水槽まで押し上げ、落ちてくる水の勢いを利用して各家庭に水を給水する、受水槽方式のひとつです。
水道本管から常に受水槽や高架水槽に水が貯水されているため、災害時などで水道局からの水が止まってしまったときでも、貯水槽に貯まっている分の水を給水できます。

今回は、高架水槽の仕組みや設置した場合の義務、メリット・デメリットを解説します。

高架水槽は屋上に設置されるタンクのこと

高架水槽とは、マンションやビルなどに使用する給水設備で、屋上に設置された貯水槽のことを指します。

給水方式には、「受水槽・高置水槽方式」「直結増圧方式」「直結給水方式」「加圧給水方式」の4つがあり、5階以上のマンションやビルには受水槽方式が用いられます。高架水槽方式は受水槽方式のひとつです。水道本管から受水槽に水を貯め、揚水ポンプで屋上の高架水槽まで揚水して、水の重力を利用して各家庭に給水します。戸建住宅や住戸の少ないアパートに比べ、一度に大量の水を使用することがある中高層建築物でよく見られる給水方式です。

水質を維持するために定期的な清掃が必要

高架水槽や受水槽の衛生管理を徹底するためには、定期的に点検や清掃、水質検査が必要です。

受水槽・高置水槽には、常に水が貯水されている状態になります。この2つの貯水槽には水道水に含まれるミネラルが硬化してできた「水垢」が蓄積されていきます。また、貯水槽につながっている排水管が破損していたり、汚れていたりすると、土や砂、ホコリ、虫の死骸などが溜まり、飲水や生活用水として使用する水が不衛生な状態になり、そのままにしておくと、住人の健康被害問題に発展する可能性もあるでしょう。
また、水は腐るものなので、湿度の管理ができていないと、カビや雑菌が繁殖してしまうこともあります。

貯水槽の有効容量が10立方メートルを超えるものは、水道法の「簡易専用水道」に該当します。簡易専用水道には水道法で定められた必要な衛生管理が義務付けられており、毎年1回以上の定期的な受水槽、高架水槽の清掃、設備の点検ほか、厚生労働大臣の登録を受けた検査機関で水質検査(法定検査)を受けなければなりません。[注1]

また、10㎥以下の貯水槽に関しても、各自治体の条例等により適切な衛生管理が定められております。

法定検査の内容は主に以下とおりです。
● 水槽やその周辺の状況
● 点検する水槽等の外観検査
● 給水の色や味、におい、濁度や残留塩素を検査する水質チェック、
● 水槽の清掃記録や設備の図面、点検・整備記録の内容を確認する書類検査
検査結果は貯水槽の設置者による保健所への報告が義務付けられており、年1回以上の法定検査を受けなかった場合は、水道法第54条によって100万円以下の罰金に処せられます。[注2]

したがって、貯水槽を設置した際は、1年に1回以上定期的なメンテナンスを行うとともに、清掃・点検を信頼できる業者に依頼することが大切です。

[注1]東京都福祉保健局:簡易専用水道の衛生管理
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/suido/jouhou.files/kansensuipanhuR2.pdf
[注2] e-Gov法令検索:水道法 第五十四条
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=332AC0000000177

高架水槽方式のメリットとデメリット

給水方式の変更は可能ですが、条件・費用の問題があり、中々難しいと思われます。そのため、マンションを経営するにあたっては、事前に給水方式のメリットとデメリットを押さえておくことが大切です。水質やコスト面はもちろん、災害時に安心して使用できるかもチェックしておいたほうがよいでしょう。
ここでは、高架水槽のメリットとデメリットを紹介します。それぞれ詳しく見ていきましょう。

メリット:断水・停電が起きても給水ができる

高架水槽方式のメリットは、5階以上の高層階にも給水できるうえ、水の重力を利用して給水するため、水圧が一定であることです。
また、受水槽と高架水槽に水が貯まっているため、災害時に断水や停電が発生してもしばらくは給水できます。災害などで水が止まってしまっても、受水槽内の水がなくなるまで完全に断水しないため、そのあいだに対策を立てることができます。

停電時、受水槽から水を汲み上げるためには、揚水ポンプを作動させるための予備電源または発電機が必要です。電源がない場合は、受水槽から人の手を使って直接水を汲み出します。

デメリット:水槽の掃除や定期検診などでコストがかかる

高架水槽方式のデメリットは、前述のとおり、水質を保つために受水槽や高架水槽の清掃を定期的に行う必要があることです。
メンテナンスには手間や費用がかかり、その費用はマンションの管理費などに含む場合がほとんどです。

また、受水槽や揚水ポンプ、高架水槽を設置するためには、広いスペースがなければなりません。設置するための工事も簡単なものではないため、コストがかかります。

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