コラム

空気環境測定とは?調査の必要性を解説

空気環境測定とは

ある一定規模の建物オーナーであれば、空気環境測定の実施が義務付けられています。
そもそも空気環境測定とは、いったいどのような目的があり、どういった作業を行うのでしょうか。

本記事では、空気環境測定の概要と、なぜ調査が必要となるのか詳しく解説します。

空気環境測定とは?

空気環境測定とは、ビルやショッピングモールなど、不特定多数の人が利用する施設で義務付けられている、空気中の成分の測定で、空気調和設備・換気設備が適正に運転されているかを判断するものです。

根拠となるのは、建築物衛生法にある建築物環境衛生管理基準であり、施設を利用する方が快適に過ごせること、感染症などのリスクをなるべく抑えることを目的としています。

空気環境測定の対象となる建築物

空気環境測定はすべての建築物に必要ではなく、対象となる建築物が決められています。

空気環境測定の対象は、延べ床面積3,000平方メートル以上の建築物、学校は8,000平方メートル以上の建物です。
また、用途によっても定められており、事務所や店舗、学校、百貨店、旅館など、不特定多数の人が利用する建物に義務付けられています。

テナントが入っているビルやショッピングモールなども、空気環境測定の対象となりますが、義務を負っているのはオーナーであり、各テナントには測定の義務はありません。

空気環境測定の項目

空気環境測定では、測定すべき項目が定められています。
基本的には浮遊粉塵、一酸化炭素、二酸化炭素、温度、湿度、気流の6項目を調査しなければなりません。

さらに、新築及び増築、大規模改修・模様替えを行った場合、完了後初めに迎える、6月1日~9月30日の間に、この6項目と別にホルムアルデヒドの調査を1回行うことが義務付けられています。

浮遊粉塵のホコリにウイルスが付着し、それを吸い込んで感染する危険があります。
また、ホコリだけでなく、花粉やダニなども含まれており、アレルギーを持つ方にとって危険な物質です。

一酸化炭素や二酸化炭素も濃度が高ければ、頭痛や吐き気等人体に影響を与えますし、温度や湿度は快適性に直結します。
施設を利用する人が危険を感じずに快適に過ごせるように、空気環境測定が必要 です。

空気環境測定の必要性

空気環境測定の必要性

空気環境測定の必要性は、大型施設の構造と空調設備にあります。

美術館やショッピングモールなどの大型施設は、ドアや窓が少なく、換気しにくい構造になっています。
そのため、多くの施設では空調システムを使って外気を取込み、施設内の空気を循環・入替を行い、適正な空間の維持に努めております。

万が一、空調設備の調子が悪くなったときに、外気を取り込めずに施設内の空気が悪くなってしまう恐れがあります。
さらに、一酸化炭素が施設内に循環してしまったり、カビの胞子やダニの死骸などが施設のさまざまなところに行き渡ってしまったりすれば、健康を害する恐れがあるでしょう。

人が多く集まる施設内の空気が悪くなると、被害が非常に大きくなってしまうかもしれません。
このような事態を防ぐため、施設のオーナーには空気環境を定期的に測定すること が義務付けられています。

空気環境測定の方法

空気環境測定は誰でも行えるものではなく、適切な資格保有者が行わなければなりません。
空気環境測定の方法には、測定頻度、測定時刻、測定点、測定店の高さ、法定測定機材を知る必要があります。

ここでは、空気環境測定の方法を詳しく見ていきましょう。

1. 測定頻度

空気環境測定の測定頻度は、2カ月に1回です。
2カ月に1回の測定時には、1日2回の測定が必要となります。

もし施設が昼間に使用されているのであれば、午前中に1回、午後に1回が基本です。
以前は1日に3回測定していたので、施設によっては今でも3回測定している施設 があります。

2. 測定時刻

測定時刻は厳密に決められているわけではありませんが、始業時から中間時の間で1回、中間時から終業時の間で1回行います。
不特定多数の人が利用する施設の場合、空気の状態が大きく変わることがあるので、1日1回の測定では不十分です。

同じ測定点で空気環境測定を行い、温度・相対温度・気流に関しては瞬時値、一酸化炭素・二酸化炭素・浮遊粉塵に関しては、2回の平均値を取ります。
平均値を基準値と比較して異常がないことを確認しなければなりません。

3. 測定点

空気環境測定を行う場合、どの場所で調査するのかを決める必要があります。
特に、一つの測定点でカバーできる範囲を知ることが重要です。

まず施設全体の延べ床面積を基準に空調比として60%をかけ、測定が必要な延べ床面積を算出します。
測定が必要な延べ床面積が分かったら、1測定点あたりの床面積を使って施設全体の測定点数を計算しましょう。

1測定点あたりの床面積は自治体によって異なります。
東京都の場合は延べ床面積3,000平方メートルで1測定点あたり300平方メートル、延べ床面積5,000平方メートルでは1測定点あたり400平方メートルと定められています。

例えば、延べ床面積が5,000平方メートルの施設があったとしましょう。
60%が測定の必要な床面積なので、5,000×0.6=3,000平方メートルです。

延べ床面積5,000平方メートルの場合、1測定点あたりの床面積は400平方メートルなので、3,000÷400=7.5、つまり8測定点が必要になります。

加えて、空気環境測定では、施設内の空気と外気の状態を比較しなければならないので、屋上またはエントランスで外気の測定を行わなければなりません。

そのため、外気の測定を含め、全部で9つの測定点が必要です。

4. 測定点の高さ

空気環境測定では、複数個所で複数回の測定が行われるため、測定点の高さも統一しなければなりません。
当然、不特定多数の人が利用する施設であれば人が吸い込む可能性のある空気の測定が必要となります。

そのため、測定点の高さは床から75cmから150cmの間で行います。

5. 法定測定機材

建築物衛生法によって、前述の6項目とホルムアルデヒドを測定する機器および機材について定められています。
さらに東京都では、空気環境測定業者や総合管理業者が使用機器の登録を行っているので、どのような機材を使っているのかあらかじめ確認できるでしょう。

法定測定機材を使っていたとしても、定期的に校正が必要です。
機材は使っているうちに誤差が生じる恐れがあります。
定期的に標準ガスを使用し、誤差が発生していないか、正確な数値が測定できているかを確認すべきです。

6. 空気環境測定実施者が測定を行う

空気環境測定は、誰でも行える作業ではありません。
きちんと資格を持った方が法定測定機材を用いて測定を行う必要があります。

空気環境測定を行うための国家資格が空気環境測定実施者です。
空気環境測定実施者は5年以上空気環境の測定に従事した経験を持っている方 が、5日間の講義と試験を受けて合格することで取得できます。
また、建築物環境衛生監理技術者免状を持っているものが行なえます。

試験自体はそれほど難しくありませんが、5年以上の実務経験を積むのが簡単ではないのが特徴です。
ビルのオーナーが空気環境測定実施者の資格又は建築物衛生監理技術者免状を持っていれば、業務を依頼せずに自分で行えますが、測定機材は高額です。

空気環境測定を行って快適な施設を提供しよう

空気環境測定は、施設を利用する方が快適に過ごすために重要な調査です。
場合によっては、空調設備に不具合があることが早めに分かるかもしれません。

法令に従って測定を行わないと罰せられる恐れもあるので、きちんと測定を行うようにしましょう。

一覧ページへ戻る


通話無料!当社スタッフが丁寧に対応します。
お気軽にお問合せください。

通話無料!当社スタッフが丁寧に対応します。
お気軽にお問合せください。

メールでのお問合せはこちら