コラム

マンションの漏水トラブル、原因と対処法

マンションで漏水トラブルの危険性が高まっていることは知っている人も多いでしょう。日本では高度成長期に都市化が加速し、1970年以降に大量のマンションが建てられました。
今回は、マンションの漏水トラブルの原因と対処について説明していきます。

現在、築30年から築50年といった老朽化したマンションが増えています。しかし、マンションの建て替えはなかなか進んでいません。それは建て替えには区分所有者の3分の2の賛成が必要な上、建築計画を立てるのに時間がかかり、資金繰りなど多くの課題があるからです。そのため老朽化した屋上や外壁、給排水管を修繕して住み続けるところが増えています。

マンションなどのリフォームに関する相談を受け付けている公益財団法人が、2015年に受けた電話相談は1,807件ですが、その内訳を見ると漏水に関係する相談が上位を占めています。一番多いのは内壁や外壁のひび割れに関する相談で14.4%、2番目が雨漏りの11.8%、漏水は6番目で9.9%となっています。

雨漏りは、屋上や外壁のひび割れ、防水塗装の劣化などが原因で起こります。日本は地震が多いため屋上や外壁のひび割れリスクが高く、こうした割れ目に雨が染み込むことでマンションの劣化が進行し、漏水トラブルにつながります。同時に近年台風が大型化しているため、強風による外壁や雨どいの破損、大量のゴミや落ち葉が雨どいに詰まって雨漏りが発生するという事例も増えています。

漏水は、台所やトイレなどが詰まる、誤って大量の水を使用したなど住民の過失によるものと、配管が傷んでいたり、配管工事に欠陥があったりするなど、老朽化や不完全な修繕が原因となっていることがあります。いずれにしても、建物の老朽化が漏水トラブルと大きく関係しており、築年数が経過したマンションはそのリスクが高いです。

マンションの漏水トラブルは、量の多い少ないに関係なく直ちに対応しなければいけません。なぜなら住むのに支障が出ることはもちろん、他の住民や共有部分などマンション全体に関わる問題になる可能性があるからです。漏水トラブルが発生すると、まずその原因を突き止めることが第一ですが、自分の部屋に水漏れが発生したとしても、上の階が原因とは限りません。下の階で排水管が詰まり、水が行き場をなくして漏水が発生していることもあるからです。

自室の台所や風呂など、排水管の詰まりが原因と思われる場合は、まず水を止め、漏水トラブルに対応している会社に連絡するとともに、マンションの管理人や管理会社にも状況を知らせ、他の階に被害が及んでいないかを確認してもらいましょう。自室の壁や天井、共用部分からの水漏れの場合は、その場所を写真に撮り、日付や時間、状況などを記録します。それからマンションの管理人や管理会社に連絡し、対応を依頼するとともに、他の部屋や壁などにも同様の被害がないかを確認してもらいます。

その後、管理会社や管理組合を通じて専門家や業者に、漏水の原因を調査してもらいます。屋上や外壁のひび割れや破損、防水塗装の劣化が原因であれば修繕が必要です。給排水管の劣化や施工不良であれば、原因箇所を突き止めるため居宅内を含めた調査が必要になり、場合によっては壁を除いて内部を確認するなどの作業が発生します。

いずれにせよ、マンションの老朽化が原因であれば応急措置のあと管理組合や管理会社が中心となって修繕することになるため、修理が完了するまでには時間がかかります。トラブルが発生してから対応するのではなく、管理組合がしっかりとした修繕計画を立て、日頃から定期的なメンテナンスをしておくことが大切です。

マンションなどの漏水の原因を取り除く工事は当然費用がかかります。住民による過失、不注意あるいは故意によるものであれば、当然その住民が責任を問われ、費用も負担しなければなりません。その場合、住民が個人賠償責任保険や日常生活賠償責任保険に加入していると、保険である程度費用をまかなえます。こうした保険は自動車保険や火災保険、傷害保険などに付帯していることがありますので、単独で契約していなくても火災保険などの契約内容を確認してみましょう。
地震や強風など自然災害による建物や配管の破損は、管理組合の責任と費用で修繕を行います。管理組合が施設賠償責任保険に加入していれば、その保険金で費用をある程度カバーできます。

漏水が業者の施工不良によるものである場合、その施工業者が生産物賠償責任保険、いわゆる工事保険に加入していると、それで補償される可能性があります。もし、大規模修繕による瑕疵であれば、施工業者が大規模修繕工事瑕疵保険に入っていて、保証期間内であれば保険がおります。

このように一言で漏水トラブルといっても、原因や発生した場所、時期によって責任の所在や補償が異なります。そのため漏水現場の写真、日付や時間、状況などをしっかりと記録し、管理人や管理会社が状況を正確に把握できるようにすることが肝心です。

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