コラム

マンションの給水管設備を更新する目安と方法

マンションの給水管は生活の一部を支える重要なインフラのひとつです。
定期的なメンテナンスやチェックは非常に大切で、対応を疎かにすると思わぬトラブルに繋がります。
今回はとても大切な給水設備の更新の目安や方法について説明します。

給水管改修の目安

現在のマンションは給水管の更新が必要

国土交通省の資料によれば、平成27年度時点のマンション数は623万戸で、うち築30年以上が162万戸、築40年以上が56万戸となっています。一般的にマンションは築20年から築30年で給水管の更新が必要とされますので、現在のマンションの3分の1以上がその対象となる計算です。

とはいえ、築年数に関係なく赤水や青水が出たりすれば、早急に何らかの対応が必要になります。
赤水とは鋼管の内部が腐食し、さびや鉄バクテリアなどが水に混ざることで生じます。しばらく使っていない水道で一時的に出る場合は軽度ですが、毎朝赤水が出る場合は腐食がかなり進行していることが考えられます。
青水は鋼管が腐食し、水道水に含まれる塩素で鋼管のイオンが溶出することで起こります。その他、給水管に空気が入り込むことで生じる白濁水、水道水に含まれるマンガンが消毒用の塩素と反応して、二酸化マンガンとなることで起こる黒水などの現象があります。

水は毎日使うもの

給水管の赤さびは鋼管の材質と関係があります。1970年以前に建てられたマンションでは、亜鉛めっき鋼管が使われているためさびがでやすく、施工後10年から15年で改修が必要でした。1970年ごろから増え始めた硬質塩ビライニング鋼管を使うことで、赤さびの問題は大きく改善されました。しかし、硬質塩ビライニング鋼管を使っていても、配管のつなぎ目に亜鉛めっき継手を使用しているため、その部分が腐食していずれは赤水が生じます。

水は毎日使うものです。色のついた水を放置しておくと、水の味が落ちるだけでなく不衛生で健康被害の原因になることもあります。早めの対応はもちろん、問題が発生する前から対策を検討しておくことが肝心です。

給水管は建物の内部スペースに配置されているため、全体を目視することはできません。したがって自分の住むマンションの配管や素材を知るには、設計図や仕様書を確認します。給水管内部の状態を把握するためには、専門家によるいくつかの検査を行うことが必要です。

調査や検査の手順ですが、まず管理組合が委員会を立ち上げ、建築コンサルタントに調査を依頼します。建築コンサルタントから非破壊検査調査会社を紹介してもらい、建築施工の専門家も含めて検査を行います。
検査には、内視鏡調査や超音波肉厚測定、X線検査といった非破壊検査と配管の一部を抜く抜管検査があります。内視鏡調査は、ファイバースコープ検査ともいわれ、給水管内にファイバーを挿入して内部の状態を確認するものです。超音波肉厚測定は、超音波を使って給水管の外側から侵食具合を見る方法です。X線検査は、文字通り配管にX線を照射して状態を確認します。壁の内部や床スラブの下の配管の状態を知ることができます。

給水管はマンション全体でつながっているため、専有使用であってもすべての区分所有者が自分の責任で配管を更新することが出来ない場合があります。通常のマンションでは、築5年で給水管設備を、築15年経ったころに水道メーターとその周辺設備を改修します。そして、築20年から築25年で共有部分の配管を、築30年経過をめどに専有部分の配管を改修するのが一般的です。

更生工事と更新工事

配管の改修には更生工事と更新工事があります。

更生工事は、パイプライニングとも呼ばれ、管の内側のさびやこぶ、水垢などの汚れを取り除き、気流やボールを使用して、さび止めの樹脂を管の内側にコーティングするものです。更生工事の耐用年数はおよそ10年で、老朽化が進みすぎた配管には使用できませんが、騒音が少なく短期間、比較的低予算でできるというメリットがあります。

更新工事は、既存の素材を高性能ポリエチレン管やステンレス管といった、最新のものに取り替えるものです。大規模な工事となるため工期が長くある程度の予算が必要で、工事中は騒音も発生します。しかし、さびや劣化に強い最新の素材に取り替えるため、耐用年数が約30年というメリットがあります。

給水管の更新は、今日必要だからといって明日から工事ができるわけではありません。管理組合でしっかりとした計画を立て、必要な予算を確保して、時間をかけて信頼と実績のある施工会社に依頼することが大切です。

注:更生工事は専門性の高い工事の為、当社では提案はしておりません

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